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建築と都市、そこでの生活にまつわるあれこれ

百貨店の終わり

東京都内の再開発によって、最近大規模な商業施設が続々とオープンしています。 東急プラザ銀座、銀座SIX、東京ミッドタウン日比谷など。この後も、三越日本橋のリニューアルや日本橋高島屋のオープンが控えています。 ビルの構成ですが、概して、テナントと…

”みんな”のための建築の危うさ(1)

日本の公共建築の設計業務はプロポーザルという形式で提案書を建築設計事務所各社から募り、その中からもっとも主催者の目的にかなったものが選ばれるという手順を踏みます。 一般的に、日本の民間のオフィスや商業施設を計画するの場合、クライアントがまと…

都市をつくるエンジン

戦後の持ち家政策は大家族解体→核家族の量産と連動して日本の都市開発のひとつのエンジンとなり戦後復興に一役買っていたが、高齢化社会&若者の貧困化→集まって住む必要がある人々の増加(高齢者はケアの必要性から、若者はお金がないから)と人口減少が進む現…

Weworkのデジタル生産システムと日本のゼネコンの土着的生産システム

ソフトバンクとWeworkが日本で合弁会社を設立し、2018年から日本に順次シェアオフィスを作っていくという。 www.softbank.jp 日本の建設/不動産業界にとって、彼らが日本に参入する意味は大きい。 なぜなら、現在の日本の建設/不動産業界はデジタルデ…

シェアと移動の時代の住まい

近所に、フレディ・レック ウォッシュサロン トーキョーがオープンした。連日布団を自転車に積み込んだ人たちがたくさん集まってきて、洗濯したり、併設のカフェでひとりで、または何人かでくつろいでいる。 何年か前に日本でも洗濯乾燥機が普及し、洗濯物を…

都心部、大規模再開発案件のキーパーソン

オリンピックに向けて東京都心部は再開発プロジェクトが盛りだくさんだ。 再開発案件はその規模からいってもステークホルダーが多く、物事を進めるのがとても厄介だ。 ところでさまざまいるステークホルダーで一番発言権を持っているのはやはり地主さんであ…

CITIPEDIA

これまで、 住宅から大規模再開発、まちづくりまでのさまざまなスケールで、 友達夫婦からベンチャー企業、大企業、学校法人、自治体までさまざまなクライアントと、 アジア各都市でさまざまな建築・都市プロジェクトに 関わってきました。 その時々で得た気…

最近ハマったTVドラマ4つ

"Netflix", "Amazon Prime", "Hulu"と、映像ストリーミング配信会社が日本でぞくぞくサービス開始したので、最近はこれらを見るのにはまってます。 (Huluは2年くらい前から加入していたのだけれど。) よく見るのは映画よりもTVドラマ。 特に英語圏で製作…

都市デザインとお金と日本人(1)

春の週末に遊びに行った友達が住む公営団地では、いい感じにほったらかされた草花が春風にほわほわと揺れていて気持ちよかったなあ。 あの環境は、年月が経ってよくなったもののひとつ。 ただし、住戸内の水回り設備や間取りはやっぱり昔ながらで、今の生活…

現代建築を「作家性」で捉えるのは間違ってる。

現代に建築を作るとき、個人の作家性うんぬんというのはおかしい。建築家が個人の感性で仕事ができた時代はとっくの昔に終わっている。 時代を遡って考えてみよう。建築家が個人の感性で建築を建てていた時代。 例えば村野藤吾や吉田五十八。 彼らは茶室や高…

グローバリゼーションと共同体の機能

最近、生きて行く上で収集して処理しなければならない情報が昔より格段に増えていると感じる。具体的には子育てのことだったり、健康管理のことだったり、お金に関することだったり。 情報処理が不得意な人にとっては相当に生きづらい世界なんじゃないか。 …

コンサルタントとしての建築デザイン

中国や他の新興国で依頼される仕事というのは、ゼロベースのものが多い。 ゼロベースというのは、真っさらな土地にホテルと商業施設とコンベンショナルセンターを計画したいんだけど、とりあえず絵を描いてみて。」という依頼のこと。 規模も決まっていない…

ハワイの生きる空間

ハワイに行ってきた。 小さな子を連れての旅行だから、飛行時間が長すぎないこと、ホテル近くで楽しめることと、ぼーっとできる自然豊かな場所、で選んだらハワイになった。 で、行ってみたら大正解。さすが先輩パパママがこぞって進める場所だ。 子供だけじ…

"愛の島々 Love in the south sea"

ベンクト・ダニエルソン"愛の島々 Love in the south sea"を読む。 愛の島々 (1958年) (人と自然叢書) 作者: ベンクト・ダニエルソン,奥又四郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1958 メディア: ? この商品を含むブログを見る 性と文化、宗教が密接に結びつ…

歴史的建造物に対する態度ー日本人の場合。

最近、丹下さんや、黒川さんがデザインした日本の近代建築の多くが取り壊されかかっているよね。 日本は欧州に比べると、歴史的建造物が結構簡単に壊されてしまったり、壊されていなくてもうまく活用されていなかったりする印象があるのだけれど、それが何故…

アイコニックな建築による都市デザインの終焉?

この間、DezeenでH&deのチェルシーのスタジアムデザインをみつけました。 www.dezeen.com 建築的にも、都市デザイン的にも、とても良く出来たデザインだと思います。 私は好きです。 かつてFrank. O. Gehryのビルバオが都市への観光客を呼び込みに成功し、都…

40代で若手ってなんなの、のつづき。新しいチームワークを考えてみる。

前回の続き。 ちなみに前回あげた建築家という職能に求められる技能の(1)〜(14)は建築設計事務所が成長する過程で順番に身につけていく。 <第一期>住宅をつくっている時期: 個人に対しての建築は(1)〜(6)までの技能があればなんとかなる。 …

40代で若手ってなんなの

建築家は40代のおじさんおばさんでも若手と呼ばれる。 実際のところ、そう思う。 建築家が運営する設計事務所の成長過程を段階的にみていくと(これまでのところ昔から変わらず)以下のような感じだ。 まずは知り合いの小さな住宅をつくり(第一期)、その…

日本の住宅(3)

日本の住宅(1)と日本の住宅(2)でざっと戦後からの住宅建設システムの変遷をみてきたのだけど、どれもなんだか時代遅れになってしまったように思える。 ハウスメーカーの住宅は30年程度でみんな壊しているということは、どこかでライフスタイルに合わ…

日本の住宅(2)

続いて ストックとしての住宅研究時代 日本の住宅(1)で書いたような住宅が都市を形作りはじめると、その構造的・設備的・デザイン的な貧しさが問題になりはじめる。 そこで住宅建設業界はさまざまな実験をはじめた。 1、スケルトン・インフィル スケルト…

日本の住宅(1)

日本の住宅を取り巻く環境について考えてみた。 まずは戦中・戦後の住宅大量供給時代 1、戸建て住宅 戦後ハウスメーカーが続々と創立し、大量生産システムを確立したこれらハウスメーカーが住宅建設シェアを拡大していった。 ハウスメーカーのシェアが拡大…

建築を大量生産すること

いままでは、地域固有のマテリアルの扱いや施工方法、習慣に精通した地元の建築家がその土地の建築をつくってきた。 けれど、様々なマテリアルの強度が分析されるようになり、施工方法が世界でゆるく一般化され、各国の習慣が情報として流通するようになった…

はだかんぼうにっきについて

昔々、建築はその土地の自然を利用して作られました。 縄文時代には草木を使った竪穴式住居が、時を経て中世のイタリアではその土地でたくさん採掘することができたトラバーチンで現代にも残る数多くの名作建築が、その頃の日本では木を効率的に利用するため…

建築デザインの世界戦略(1)ーレム・コールハースの場合

コールハースの世界戦略のキモは建築デザインをダイアグラムから組み上げることと、プロジェクトに対するブックレットを建築と同時にまとめることです。 彼らはクライアントから与えられた要求に対して、2つの手段で応えます。 (1)、ダイアグラムによっ…

CGパースから考える

以前中国の物件を担当していたときに、中国人のクライアントから「あなたたちが出してくるイメージパースは良くないので、中国の会社にイメージパースをつくらせたほうがよい。」とアドバイスされたことがありました。 中国のCG会社のHPなどに掲載されている…

アジアで日本人が建築デザインをするということ

昨今のアジアの建築市場の活況はみんなの知るところです。アジア各地で仕事をしている建築事務所のみなさんも多いのではないでしょうか。 このようにアジアに世界から資本が投下され建設熱が高まっている現在、日本人の建築デザイナーの役割はとても大きくな…

フラット化する日本の建築階級、「漂うモダニズム」

槙文彦さんの「漂うモダニズム」を読みました。 漂うモダニズム 作者: 槇文彦 出版社/メーカー: 左右社 発売日: 2013/03/08 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 「あー、そうそう、そうだよねー。」と共感する部分がたくさんありました。 …

新興国での建築デザイン、3つのアプローチ

今回は中国、ドバイ、インドネシアなどの経済成長が著しい新興国で、外国人が建築デザインの仕事をすることについて考えてみたいと思います。 われわれ日本人もこうした新興国での仕事のオファーをたびたび受ける訳ですが、1回プレゼンしただけで音沙汰なか…

フラット化する世界と多様化する建築家の職能

建築家が国境を越えて建築をつくるのが当たり前になるにつれて、その職能はますます多様になりつつあるように思います。 ざっと思いつくのは以下の5種類。 (1)国あるいは都市のキャラを発見する (2)アイコニックな建築をつくることで、国あるいは都市…

日本の建築空間を売り出そう!(3)

日本建築が持つ独特の”雰囲気”を売りたいのに、日本以外では作れないというジレンマ というお題について前回は、 ・日本の建築空間を(物質/使用両面で)ユニバーサルな素材で表現して売る。 と解いてみました。 今回は、別の解法を考えます。 実際このジレ…