CITIPEDIA シティぺディア

建築と都市、そこでの生活にまつわるあれこれ

都市をつくるエンジン

戦後の持ち家政策は大家族解体→核家族の量産と連動して日本の都市開発のひとつのエンジンとなり戦後復興に一役買っていたが、高齢化社会&若者の貧困化→集まって住む必要がある人々の増加(高齢者はケアの必要性から、若者はお金がないから)と人口減少が進む現在では持家政策は都市を作り出す(更新する)ためのエンジンとしては有効とは言えない。

ただし、都市部に関してはまだ効き目があって、最近の豊島区庁舎や渋谷区庁舎の事例に見られるように容積率制限を撤廃し公的施設とタワーマンションを合体させることによって区の財政をほとんど使わずに区の施設を作るなど、人々の住宅所有の欲求を国家的な都市計画のエンジンに転化できている。

 

だけど、今のオリンピック景気による不動産価格だだ上がりの期間が終わったらどうだろう。

 

投機のために不動産を購入していた層は不動産を手放し、少子高齢化で住宅を買う層も激減する。その時人々の欲望を都市開発のためのエンジンに使うことはできない。

今、ひたすらお金を内部留保している企業がお金を日本の不動産に使う?絶対使わない。人口が縮小していく地域に建物をつくるなんて馬鹿げている。

 

あるとすれば、どこかアジアのお金持ちたちが、日本のよくできたインフラストラクチャー(きれいに整備された高速道路・時間に著しく正確な電車網、蛇口をひねれば飲める水が出てくる水道網、礼儀正しい労働者)を利用して”自分たちの利益のために”都市を再構成していく可能性だ。その都市はもはや住民のためではなく、お金をかせぐための都市になる。