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建築と都市、そこでの生活にまつわるあれこれ

シェアと移動の時代の住まい

近所に、フレディ・レック ウォッシュサロン トーキョーがオープンした。連日布団を自転車に積み込んだ人たちがたくさん集まってきて、洗濯したり、併設のカフェでひとりで、または何人かでくつろいでいる。
 
何年か前に日本でも洗濯乾燥機が普及し、洗濯物を干すための庭やベランダは住宅に必須のものじゃなくなった。そして今では、気軽に使えて、待ち時間にも隣接したカフェで読書したり、友達とおしゃべり出来る"ソーシャルな"コインランドリーが普及しようとしている。この結果、洗濯機置場は住宅に必要じゃなくなる。
 
ここ数年で住宅に必要なスペースは激減してきた。先にあげた、物干しスペース、洗濯機置場、カーシェアリングの普及によって車庫も必要ない。pcでtvが見れるのでtv台置場も必要ない。電子書籍が普及してきたので本棚も、書斎も必要なくなった。
 
一方でモバイル機器やネットの発展によって、人はますます多く移動するようになった。旅がそのまま生活になってる人もいるし、3~4年ごとに住む場所を変える(国を超えて)なんて普通だし、2拠点、3拠点居住してる人は身近にたくさんいる。頻繁な移動のために、人は身軽でいたがっている。
 
それ後押しするように、最近のアウトドアウェアは数枚をレイヤードすることで春夏秋冬快適に過ごせる服を開発してきたし、家具は適当な性能のものがローコストで買えるようになった。つまり、手荷物は少なく、持ち運べない大きなものは現地調達しやすく。
 
これから日本は人口が減って、土地や建物が余るだろうといろんなところで言われているけれど日本のどこもかしこもに空き家出るにではなくて、きっとすごく余るところと、すごく密なところの二極化するんだろうと思う。東京はもっと密になる。沖縄やニセコなどの風光明媚なところも密になる。なぜなら、人口が減る代わりに、人々が土地や家を2つ3つ持って移動しながら生活する時代になるから。
 
その時の住居に求められるのは、良い睡眠が取れて美味しい食事が作れて、たまに人を呼んでささやかなパーティができる、というようなことだろうと考えてる。
車や洗濯機はシェアできるし、持ち物は少ないからこれまでよりも小さな住まいでいい。ひとり、または家族、パートナーと効率的に使える空間であり、たまには人を呼んでホームパーティをしたり、ワークショップをできるような空間。