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建築と都市、そこでの生活にまつわるあれこれ

建築デザインの世界戦略(1)ーレム・コールハースの場合

コールハースの世界戦略のキモは建築デザインをダイアグラムから組み上げることと、プロジェクトに対するブックレットを建築と同時にまとめることです。

 

彼らはクライアントから与えられた要求に対して、2つの手段で応えます。

(1)、ダイアグラムによって建築を定義する

(2)、ブックレットによって建築を定義する

(1)は主にOMAによって、(2)は主にAMOによって作られます。

 

まず、ダイアグラムについて。

彼らの戦略は本来、文化とか政治とかにぐちゃぐちゃにまみれている建築というものを、容積とサーキュレーションとファンクションのシンプルな構成でできた図式=ダイアグラムに還元するところからはじまります。それはシンプルでロジカルに組み立てられているのでみんなが理解しやすい。

彼らは与えられたプロジェクトに対して、旧来のダイアグラムはこんな感じだったけど、ここをこうすればより良い建物になる、と新しいダイアグラムを提示します。そしてその新しいダイアグラムをそのまま建築として立ち上げているようにふるまいます。

ダイアグラムという抽象的なものに建築を還元することで、建築はグローバルにもヒストリカルにもさまざまな建築と比較可能になります。

つまり、建築をダイアグラムというユニバーサルでシンプルな単位にまで還元し、そのダイアグラムの比較でもって、建築の「新しさ」、「使いやすさ」を説明可能にしたことが、彼らの世界戦略の第一のキモだと思います。

 

ただし、 

そうは言っても、やっぱり建築には文化とか、経済とか、政治とかいろいろまとわりついてきちゃうわけです。きっとクライアントからもそれらに対する回答を求められることでしょう。

そこで彼らは、さらにそのダイアグラムの正当性を裏付けるために、ブックレットとしてリサーチ資料を提示します。それこそ、クライアントから求められる文化や政治に対しての回答書あるいは提案書です。これらの提案書では、その建築が作られる国の政治的背景や、経済的な立ち位置、歴史などをAMO的視点で解読しています。これが第二のキモですね。

 

OMA/AMOはこの2段階の提案によって、世界中のクライアントに彼らの提案する建築がグローバルな課題に答え、かつ、ローカルな課題にも答えていると説得してるんですね。

 

さすがですねえ。