Weworkのデジタル生産システムと日本のゼネコンの土着的生産システム
ソフトバンクとWeworkが日本で合弁会社を設立し、2018年から日本に順次シェアオフィスを作っていくという。
日本の建設/不動産業界にとって、彼らが日本に参入する意味は大きい。
なぜなら、現在の日本の建設/不動産業界はデジタルデータを驚く程活用できていないからだ。
WeworkはCaseというBIMコンサルの会社と協業(のちに買収)してから従来の不動産会社でなく、テック企業となった。彼らのBIMを用いたオフィス生産システムはWirerdの記事に詳しい。
特に日本のゼネコンにとっての影響はきっとものすごい。
彼らは戦後に受注・設計・施工までを(関連する下請け業者と一体になって、)ひとつの会社でやるという生産システムを確立した。
そのシステムが21世紀の現在までうまくいっていたので、BIMへの対応が遅れている。(対応しているのは鉄骨製作会社くらいではないだろうか?)ゼネコンの中でBIMは”社内研究所”で研究されているというような遅れようで、ようやく最近、外資の設計事務所またはクライアントに促されて使うようになってきたという感じだ。
その生産システムはIT革命前の基準では完成度が高かった故に、21世紀になっても戦後当時のやりかたのままほとんど更新されていない。システムは営業から現場の労働者の暗黙知によって回っているような特殊なしろもので、企画、設計から施工に至る各層の膨大な労働量によって成り立っている。
この古くさいシステムがここまで残ってしまったのは、戦後の経済発展のため国・自治体から発注された膨大な公共工事が、彼らになんの試練も与えずに生かしてきたこととも関係がある。
けれどもこのゼネコンの生産システムも、これから3年程度でソフトバンクとWeworkの影響によって終了を迎えることになるだろう。
彼らはそのうちオフィスだけでなく、さまざまなプログラムの建築を彼らのデジタル生産システムの中に取り入れる。その効率的で機能的なシステムに、戦後から続いた牧歌的なゼネコンのあり方は、根底から覆されることになるに違いない。