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建築と都市、そこでの生活にまつわるあれこれ

日本の住宅(3)

日本の住宅(1)と日本の住宅(2)でざっと戦後からの住宅建設システムの変遷をみてきたのだけど、どれもなんだか時代遅れになってしまったように思える。

 

  • ハウスメーカーの住宅は30年程度でみんな壊しているということは、どこかでライフスタイルに合わなくなってしまったか、老朽化してしまう。
  • 集合住宅は空間・設備システムのフレキシビリティーがない。
  • コーポラティブハウスは設計段階での住民同士のコミュニケーションで疲弊してしまいそうだ。(人は自分の投資した金額で得られる空間を最大化したいと思うはず。住民同士の軋轢を生まずに個々の住戸の適正金額を決めることができるのだろうか。)
  • ケルトン・インフィルは惜しいところまでいった。この変種として現在のリノベーションブームはあるのではないかと思う。

 

いったいどんな建築とシステムがわれわれに必要なんだろうか。どんな住空間を私たちは豊かな住空間と呼ぶのか?

ちょっと考えてみよう。

まず、豊かな住空間とは、ライフスタイルにフィットしていて、最新のテクノロジーの恩恵を受けている住空間だと定義しよう。

けど「ライフスタイル」と「最新テクノロジー(住宅設備)」は時間の流れとともに大きく変化する。

 

1、ライフスタイルは5〜10年ごとに変化する。

例えば、独身→結婚後、子なし→子ども、幼児→子ども、思春期→子ども独立(残される高齢者)

その時々で必要な空間は異なる。

 

2、最新テクノロジー(住宅設備)は5年〜10年で次々新しいシステムが考案される。

床暖房とか絶対高齢者に必要な設備だと思うんだけど、高齢者の住んでいるのは彼らが若い頃に建てた家だからこういう設備ないんだよね。たまにお風呂も古いダイヤル式のだったりするよね。。あと、昔オール電化住宅(集合住宅もあったな)とかはやったけど、電気料金が値上げされ続けている昨今どうしているんだろうね。

 

 

だから、どんな建築が必要かっていう問いへ第一の回答は、

ライフスタイルやテクノロジーの変化の中で変わるから、いろいろな建築が必要だ、になっちゃう。

だから、5〜10年ごとに住み替えて、その時々で必要な建築を手に入れる、だよね。

実際にしている人も多い。

けどこれ、結構お金かかってると思う。

賃貸マンションの場合、設備がきちんとしているのって少ないし、あっても賃料高い。それから内装を変えていい賃貸マンションて少ない。

分譲マンションの場合、次々住み替えていくにしてもお金かかる。

実は、こういうライフスタイルに適していて、かつ市場に流通している住宅のストックが現在のところ都市にほとんどないのではないかな。

 

第二の回答は、

できるだけフレキシブルにリノベーションできる建築。

これをリノベーションし続けることで、ライフスタイルやテクノロジーの変化に対応できる。面積の拡張はできないけど、設備の更新や間取りの更新はできる。

けどリノベーションは敷居が高いと感じている人も多い。分譲マンションとか買うと仲介業者がリノベーションも請け負ってたりするよね。その金額がべらぼうに高かったりする。工務店や建築家に頼む方が自由度もあるし安かったりするけど、面倒って人も多い。アクセスしずらいんだと思う。わかりやすいところに店舗があるわけでもないし、広告とかしないし。

 

 

だからわれわれ(建築業界の人間)がこれから、私たち日本に住む人が豊かな生活空間を手に入れるために取り組まなければならないのは各業者(設計者・工務店・建具屋さん・大工さん・建材屋さん等)に一般の人がたやすくアクセスできるインフラをつくること。

houzzとか頭いいよね。iemo[イエモ]はhouzzをめざして作ってるらしいけどちょっと方向性を間違えている気がする。

 

それから、工事費をぐぐっと安くすること。これは上記のインフラが整備されればいままで仲介業者に払っていたお金がカットされるんじゃないかな。