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建築と都市、そこでの生活にまつわるあれこれ

コンサルタントとしての建築デザイン

中国や他の新興国で依頼される仕事というのは、ゼロベースのものが多い。

 

ゼロベースというのは、真っさらな土地にホテルと商業施設とコンベンショナルセンターを計画したいんだけど、とりあえず絵を描いてみて。」という依頼のこと。

規模も決まっていない、収容人数も決まっていない、予算も決まっていない、施設のコンセプトも決まっていない、土地はまっさら。

 

そういう依頼に応えるために、建築家は線を引く。

・その土地の歴史、環境、特産物、植生などなどをリサーチし、

・計画される建築のコンセプトを作り上げ(それは、ディズニーランドのようなスペクタクルなものか、ランドスケープに埋もれてみえないものなのか、などなど)

・与えられたプログラムに対する基本ボリュームから、その土地に最適な施設のボリュームを導きだし、

・魅力的なCGパースを作り上げる。

 

先進国では「コンサルタントマッキンゼーとかアクセンチュアとかBCGとか)」と呼ばれる人たちが人口動態の調査・各プログラムの規模の設定・それらの収益率の計算などなどをして、プロジェクトの戦略をまとめた後に建築家が入ることが多いのに対して、今まさに猛烈なスピードで成長している新興国では、戦略のアウトラインを描くことが建築家にも求められる。

 

コンサルタントが「金」の戦略を練るのに対して、建築家は「イメージ」の戦略を練る。「金」の戦略が目に見えない、抽象的な流れを扱っているのに対して、「イメージ」の戦略はどこまでも具体的で、泥臭く、触感がある。

 

コンサルタントと建築家、扱うものは全く異なるけれども、やっていることは案外似ている。