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建築と都市、そこでの生活にまつわるあれこれ

40代で若手ってなんなの

建築家は40代のおじさんおばさんでも若手と呼ばれる。

実際のところ、そう思う。

 

建築家が運営する設計事務所の成長過程を段階的にみていくと(これまでのところ昔から変わらず)以下のような感じだ。

まずは知り合いの小さな住宅をつくり(第一期)、そのうち運が良ければ小さな公共の仕事(1000m2程度の)を獲得し(第二期)、小さな公共の仕事をいくつかこなすことで実績を積み上げより大きな公共の仕事を得る(第三期)。

一般的にここまで達成できるのがだいたい40〜50歳くらいで、ここまでできたら建築家として一人前、みたいな意識が建築家業界にはある。

(ここで公共というのは、いわゆる役所の公共工事に限らず、多数の人々によって使用される建物のことをさしている。)

 

なぜ建築家と呼ばれる職業が一人前になるのにこんなに時間がかかるのかというと、この職能に求められる知識・技術が多いからなんだと思う。それらの知識・技術を習得していて、かつうまく使いこなせる事務所なんですね、とクライアントから認定され、仕事をつぎつぎと取れるようになるのに時間がかかるのだ。

そしてこれらの技能はますます多様化している。

ちょっと下にあげてみよう。

 

(1)、空間把握の技術

(2)、工法に関する知識

(3)、素材に関する知識

(4)、積算に関する知識

(5)、建築ディティールの知識

(6)、建築法規に関する知識

(7)、建築計画に関する知識

(8)、合意形成(PR)の技術

(9)、プレゼンテーションの技術

(10)、都市計画の知識

(11)、まちづくりの知識

(12)、サスティナビリティに関する知識

(13)、3Dデザインに関する知識

(14)、BIMに関する知識

 

しかもIT技術の発展によって、生産プロセスに大きな変化が起こっている今日では、求められる技術はますます増え、複雑化していくと思う。

 

そうなったら建築家が建築設計事務所を一からつくって一人前にするにはもっと時間がかかる。60代で若手とか。。

それはなんだかなあ。

ほとんど未来のないおじいさんより、未来を担う30代40代がつくる方がこれからの未来に適した建築をつくれる可能性も高いんじゃないか。(おじいさんの作る建築を全面的に否定している訳ではない。)

 

もしくは建築設計事務所はなくなって、ゼネコンとか組織設計事務所とかみたいに長い年月知識・技能を社内に蓄積してきた会社にしか建築はつくれないことになるのではないか。

それもなんだかなあ。

だって、私は時代のイメージを変えるような建築は建築家と呼ばれる人の事務所がつくってきたと思っているし。

 

じゃあ、どんな方法があるのか考えてみるのが次の話。