日本の建築空間を売り出そう!(3)
日本建築が持つ独特の”雰囲気”を売りたいのに、日本以外では作れないというジレンマ
というお題について前回は、
・日本の建築空間を(物質/使用両面で)ユニバーサルな素材で表現して売る。
と解いてみました。
今回は、別の解法を考えます。
実際このジレンマ、日本の職人さんの技術が他の国と比べて高すぎる、ということから出てくる問題なのでしょうか。
そうじゃなくて、
他国の職人さんは、日本の設計事務所が提案するディティールが実際にできているところを想像できない。
というところにあるんじゃないかと思います。
他国の職人さんには、そのディティールが拠って立つ前提がないんです。その前提というのは日本の文化そのものです。もちろん、普通のおさまりなら問題ないですよ。だけど、日本の建築空間を構成する種々のディティール、つまり、日本建築が持つ雰囲気を表現するためのディティールは日本独特に発展してきているのではないでしょうか。
それはどこの国だって同じです。みんな自国の文化の上に建築をつくってきているわけですから、それぞれディティールに対する認識が違うんです。
建築っておもしろいですよね。
だからこの問題を解決するには、以下の2つの方法があります。
(1)、日本の職人さんを現地に連れて行って現地の職人さんに技を伝授してもらう。
(2)、建物を簡易に組み立て可能で船で現地に運び込むことが可能ないくつかのパーツに分け、それぞれのパーツを日本で製作し、現地に運び込む。
この方法を採用すればで、日本の建築空間をなるべく素材感もそのままに海外で売ることが可能になりますね。
だけど(1)については、施工の段階で日本の職人さんを組み込むことが施工システム的にもお金の支払い的にも難しい。現地に進出しているゼネコンと組んで上記の問題を解決するという選択肢もありますが、そこはクライアントの意向もあるし、なかなかうまくいかないのが現実です。
(2)については現実的によく取られている方法ですが、とにかくお金がかかります。
・日本で製作し船で輸出するので、輸出代がかかる。
・現地の国の職人さんの賃金が日本比べて安い場合、賃金が高くつく。
・メンテナンスが必要になったとき、日本の職人を現地に派遣するの?
うーん、あんまりよい解決方法ではないですね。